Atom Cam2 で撮る2022年ふたご座流星群 (12/13)

2022年12月13日の晩に撮れたふたご座流星群. 24時~26時の流星を比較明合成. 左下の明るいのは月.

 最近 Atom Cam2 を1台買い増ししたので、今回その1台を赤道儀 (EM-1) に載せて一晩撮ってみました。上の写真は24時~26時に検出された流星たち。いい感じに、流星群感が出ています。24時より前(放射点が東に低いとき)の検出例もあるのですが、自宅や庭木が写っており、合成するとゴチャつくので、カットしています。

 ところで、AtomCam2 は広視野なので、ステライメージで処理する場合、基準星をうまく選んでおかないと、恒星がうまく重ならない印象もありました。ただし、今回私は赤道儀をかなり適当に設置したので、もうちょっと真面目に極軸合わせをした状態で撮って合成するとどうなるのか、試す余地があると思っています。(上の写真、日時がズレて重なっているのは、追尾エラーの影響でしょう。)

 検出された流星の動画は下記 YouTube にまとめています。ちなみに、今回前半夜からピュンピュン流星が飛んでいた印象ですが、ナゼか26時以降朝までほぼパタリと検出されなくなりました。何はともあれ、今夜14日は活動がピークらしいので、引き続き AtomCam2 で撮影を続けてみます☆

※流星の検出には東京の長谷川均氏が開発された meteor-detect (Python) を用いています。

 

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Atom Cam2 を用いた流星撮影

2021年7月頃に購入した Atom Cam2 と付属品.

はじめに

 Atom Cam2 というカメラはアトムテック株式会社が販売しているネットワークカメラです。防水・防塵(IP67)が謳われており、屋内のみならず屋外での使用も想定されています。無線のネットワーク環境スマホがあれば、手軽に(防犯や監視カメラなどとして)運用開始できます。私が2021年7月に購入したときは、本体価格 2980 円 (税抜き)、送料 850 円、という感じで、合計 3830 円で買えました。2022年10月時点は、本体価格が税込み 3480 円となっており、少々値上がりしているようです。

 カメラの基本スペックなどは、販売元のホームページに書いてあるので詳細はそちらを参照されたい(以下、かいつまんでカメラの紹介)。解像度は動画も静止画も 1920 × 1080 (1080P) で撮ることができます。画角は約120°あるらしく、通常の防犯や監視目的としては、十分なスペックでしょうか。記録メディアは MicroSD カードとなっており、公式では最大 32GB まで使えます(なお私は推奨されていない128GBを差して運用している)。電源は5V, 1A あれば動作し、付属のケーブルは本体側が Micro USB typeB, ACアダプタ側が USB typeA になっています。Micro typeB 側の差込口は防水的な処理が施されており、 挿し込むときはシリコン系の抵抗感があります。しかしながら、ACアダプタ側は TypeA の差込口も含め、特に防水処理が無いので、屋外で運用する場合は雨天時の対策・工夫がいります。あと、カメラの台座はそこそこ強力な磁石になっており、壁面に取り付けることも可能です。磁石がひっつかない素材であっても、円形の金属板 (+ 両面テープ) が付属しており、これを好きなところに貼れば設置場所を選ばないです(屋外の場合、問題になるのは電源ケーブルの取り回しではないだろうか)。

 さて、今回紹介するのは、この AtomCam2 を使った我流の流星撮影について。本来このカメラの使用目的とは逸脱した(+ 過酷な)使い方なので、あくまで参考事例としてお考え頂きたい。そのためか、私の場合1台目のカメラは1年も経たずに壊れています。真似をしてカメラが壊れたとしても、責任は負いかねるので、予めご了承頂きたい。

カメラの設置(と雨対策)

自宅の南側窓(シャッター)に設置したAtom Cam2. 軒が小さいので、強い雨が降るときは電源もカメラも退避させている.
シャッターに磁石で張りつくAtom Cam2. 風の強い日でも頑張って引っついている。エビぞり状態なので、アプリで映像を反転させる必要がある.

 最初カメラの設置については、かなり悩んだが、現状自宅の窓にあるシャッターを下ろし、そこに磁石パワーを使って張り付けています。カメラが向いている方位はほぼ南。雨の日はなるべく屋内に退避させているが、にわか雨にやれることもしばしばあり、軒が小さいので、強い雨だとかなり水をかぶっていることがありました。

レンズカバー内部の結露. 強い雨によって、機器内部への浸水があったものと考えられる.
浸水しそうな前面パネル部を住宅用の気密テープで保護した様子. (これは逝ってしまった1代目. レンズカバーが無いのは分解して遊んでいたため.)

 2022年5月27日には強い雨に何回か打たれたせいか、レンズ保護カバーの内部が結露するようになってしまいました。私の場合、何度かカメラ用のドライボックスに1~2日間ほど放置し、結露がマシになったが、一度浸水すると完全には治らず。そもそも、これは監視カメラなので、空に向けて(イナバウアー状態で)使うことは、想定されていないでしょう。そのため、防水カメラとはいえ、前面パネルから (?) の浸水を許してしまったのかもしれません。そこで、カメラの前面には住宅用の気密テープを使って、防水を強化してみる対策を施している。効果のほどはまだわからないが、何もしないよりかはマシでしょうか(強い雨の日はなるべく屋内退避が望ましいとは思う)。

ところで、1代目のカメラは2022年6月末には逝ってしまった。症状としてはSD カードをまったく認識しなくなったのです。非推奨の128 GB を使っていたこともあり、新品の 32GB に差し替えてが時すでに遅し。しまいには電源のオンオフもできなくなり、あえなくご臨終と判断。何が原因かはわからないが、浸水に加え、もしかすると日中の暑さや直射日光が原因だったのかもしれません。暑い時期は日中の屋内退避も、カメラの寿命を延ばす秘訣といったところでしょうか。なお、同年10月頃から2代目の運用を開始しています。

観測時の設定

 Atom Cam2 にはナイトビジョンモードという設定があます。ようはカラーからモノクロ撮影に切り替え、相対的に感度を上げているようです。であれば、流星を狙うのだし、モノクロで撮ったほうが吉とも思えます。しかし私の場合、一番の目的は「火球」の記録。仕事の関係で時々、近隣で火球の目撃情報が話題になると、地元メディアから問い合わせがあるのだ。このとき、オリジナルの資料があればなぁと思うことが何回かあったので、「火球」専用と割り切れば、メディアにウケるカラーでも良いかと思っています。そのため、ナイトビジョンについてはオフで運用しています。その他、私の場合の撮影設定をスクショでご紹介:

検出設定について
録画のストレージについて
その他の設定

 モーションタグ(自動検出時の緑の四角い枠)は、最初面白いからオンにしていましたが、実際に火球がヒットすると、比較明合成時に邪魔になるので、オフにしています。あと録音については悩みましたが、今のところオフにしています。ちなみに、GitHub に公開されている atomcam tools などを試したこともあるのですが、これは色々とハッピーになれそうなのに・・・ 何故か私の環境下ではうまく動作した試しがないので、今は諦めていますorz

火球クラスの検出成果

 標準アプリでの自動動体検出ですが、いくつか成功例があります。やはり「火球」と割り切れば、ノーマル状態でもぼちぼち成果が出せました。以下、自動検出が働いた例をご紹介:

火球監視の運用から約1ヶ月半後くらいに (2021年8月30日03:02頃 JST)、初めてゲットした長経路の火球. このときはまだモノクロで運用していたが (且つモーションタグもオンにっている)、同僚からカラーでも写ったのでは?と言われ、その後カラー運用に切り替えた.
2021年11月10日23:16頃 (JST) に検出した大火球. 残念ながら私は寝ていたが、たまたま目撃した同僚によると、自分の影ができるほど何回も閃光があり、凄まじい火球だったとのこと. 各地で新聞・テレビでも報じられ (私も地元新聞社に載った)、YouTube 上にも同じ火球の動画が多数 UP されている.
2022年1月14日20:44頃 (JST) に検出した火球. 画面のかなり端っこだが、一応自動検出が働いていた.
2022年1月25日05:39頃 (JST) に検出した火球. これも一応、自動検出が働いていた.

 さて、ここまでが自動検出が働いて、ゲットした火球クラスの流星たちでした。一方で、そこそこ目立つ火球 (流星) じゃん!と思えるのに、自動検出が働いていなかったケースもありますので、以下ご紹介:

2022年3月29日23:06頃 (JST) に出現した火球.
2022年6月9日02:42頃 (JST) に出現した流星. なぜか日付・時計の表示がオフになっていた.

流星群での運用

 2021年のふたご座流星群と、2022年のしぶんぎ座流星群で運用しました。ふたご群に関しては12/12~12/14の晩に計3夜にわたって観測。中には自動検出が働く火球もあり、寝床でスマホからライブ映像を見ていると、ピュンピュン流星が飛んでいる様子がわかりました。ただ、3夜分の動画データを全部「目視」で確認するのは骨が折れるため、長らくデータは塩漬け状態になりました(しぶんぎ群も含め)。

 一方で、Atom Cam2 を使った流星観測は、全国的にもユーザーが増え始め、やはり流星の検出を「楽して」やりたいという声の高まりがどこからともなく聞こえてきました (主に SNS)。そんな中、大変ありがたいことに GitHub に meteor-detect という Atom Cam 用の流星の自動検出コードを Python で作って公開されている方がおられ、私もこれのお世話になることに。さらに鈴木文二さんからご提供頂いたマニュアルや pirosap.tech という blog で紹介されている使い方を読ませて頂き、(私のようなナンチャッテ R 使いでも) 何とかプログラムを動かすことができました。有益な情報に感謝でございます。

 このプログラムはリアルタイムでの検出も可能らしいのですが(私はまだ試してない)、自分にとって最高に嬉しかったのは、撮影後のデータに対しても自動検出を走らせることができる点でした(数年前からパナソニックの GH5S で流星の動画撮影をしているときから、ずっとそういうソフトが無いか探していた)。

【左】コマンドプロンプトで meteor-detect を走らせている様子. 【右】GitHub で公開されている meteor-detect のページ.

 meteor-detect を使うと、ふたご群もしぶんぎ群もザックザックと流星が検出されました。このプログラムは流星を検出すると、動画の切り出しに加え、比較明合成された静止画を吐き出してくれます。流星の出現時間や軌跡が長いと2つのファイルに分かれることもありますが(途中で途切れていることもある)、目視でサルベージすることを考えれば、圧倒的に効率が高く、多くの人がハッピーになれるプログラムです。

meteor-detect で検出&比較明合成された流星の例 (Atom Cam2 側の動体検知は働いていなかった).

 ふたご群について、meteor-detect でサルベージされたデータを使って、1時間おきに比較明合成してみたのを以下に UP (散在も混じっているので注意)。1時間おきだと、放射点の移動(日周運動)が比較的少ないので、流星群感が出ます。あと、しぶんぎ群については、検出数が多くないので、ピーク夜の画像をひとまとめに合成しました:

ふたご座流星群 (2021年12月13日と14日の晩)

ふたご座流星群 (2021-12-13, 23h~24h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 24h~25h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 25h~26h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 26h~27h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 27h~28h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 28h~29h)
ふたご座流星群 (2021-12-13, 29h~30h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 22h~23h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 23h~24h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 24h~25h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 25h~26h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 26h~27h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 27h~28h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 28h~29h)
ふたご座流星群 (2021-12-14, 29h~30h)
おまけ
(12月13日の晩の画像を全部比較明合成)

しぶんぎ座流星群 (2022年1月3日の晩)

しぶんぎ座流星群 (1月3日の晩の画像を全部比較明合成)

 ちなみに、サルベージされた動画データについては、そのうちまとめて、YouTube に UP したいと思っています。UP したら、この記事に追記します。

何等まで写るのか?

 ところで、Atom Cam2 は何等星まで写っているのだろうか?ステナビと見比べながら、大雑把に月の無い透明度の良さそうな日のデータをあさってみた。

カラー撮影の映像をスクリーンショットした画像(blog 用に少し明るさ調整している)。星名に続けてカッコ書きで記した数字は等級。ただし変光星図によくあるように、小数点を省略する形で表記。
モノクロ撮影(ナイトビジョンオン)の映像をスクリーンショットした画像(無加工)。星名に続けてカッコ書きで記した数字は等級。ただし変光星図によくあるように、小数点を省略する形で表記。

 あくまでザッと見た感じでは、カラーモードで約4等台。モノクロモードだと約5等台という印象です。モノクロモードだと1等ぐらい暗い星が写っていそうで、薄っすらと夏の天の川も写る。ただし、比較している映像が季節が真逆の夏と冬なので、突っ込みどころがあると思いますが、ご容赦ください。

さいごに

 Atom Cam2 を使った夜空の監視。はじめは火球の監視ができればと、割り切って運用していましたが、meteor-detect の登場で、流星群のみならず、日々の流星検出にもとても威力を発揮してくれるようになりました (プログラムの製作者に大感謝)。ただ私の場合、meteor-detect の運用は撮影後にまとめて実施するスタイルなので、どうしても1時間おきに手動でプログラムを走らせています。これが自動化できれば(例えばサルベージ期間の指定)、さらに効率的に、流星のサルベージができそうです。

 なお、先に紹介した pirosap.tech という blog では “PCとATOM Cam 2で流星検出 (期間指定)” という方法も紹介されており、Windows であれば、power shell を駆使すれば、ハッピーになれそうな感じなのです。おお、これは素晴らしい情報!とてもありがたい!と思って飛びついたのですが・・・ な、何故か私の環境下では、これがうまく動かず・・・ もう少し PC のお勉強が必要そうです。

 今後、日々検出された流星については、blog に記録を残すか、あるいは YouTube にアップしていきます。2022年のふたご座流星群も迫ってきましたし、AtomCam2 を使った流星観測、引き続き楽しめそうです☆

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2022/02/24の観測

矮新星 SX LMi (2022/02/24) の光度曲線

久方ぶりに、院時代のライフワークだった矮新星の観測をしました。VSNET を見たらこの星が面白そうだったので、リハビリや機材テストも兼ねて撮りました。スーパーアウトバースト中みたいで、0.2~0.3 mag 程度のスーパーハンプが検出されました。とりあえず VSOLJ-obs にも報告済みです。

ノーフィルターで撮像した画像例(上が北)。V = SX LMi、C = 比較星 (12.97 Vmag)、K = チェック星 (14.35 Vmag)。

↑観測した画像の例です。視野は約26 x 22 分角という感じです (f=1600mm)。ビニングは 3×3 としました。使ったカメラのピクセルサイズが 4.54 ミクロンということもあり、まぁ 3×3 でも問題無いだろうと判断しました。アンダーサンプリングにならないか、多少心配しましたが、かつて 大学の ST-7XE (9ミクロン) で観測していたときは 2×2 ビニングで撮っていたので、まず問題無いですよねぇ(多分)。

測光については、AIP4Win (v2.4.10) を使いました。このソフト、いつの間にやら、ソフト側で registration が要らなくなって、誰でもインストール&利用できるようになっています。ただし、ココにアクセスしてコミュニティにユーザー登録をしないと、DL 画面に行けないようになっています。自分がかつて使っていた頃に比べると、だいぶバージョンがあがっていますが、おいおい!っていうバグもありますね。例えば、ダークやフラットのマスターフレームを作成し、それを保存しようとすると、エラーが発生します。これは以前は普通に使えた機能なのですが・・・。


ちなみに、数年前からチマチマと(教育・普及向けの資料撮影用)としてマイ機材を増やしていたのですが、昨年、ひょんなことからミードの25cm (F6.3 / ワイドフィールド版) を知り合いの方から譲り受けることになりました。フォーク架台(LX-200)は通電もせずお亡くなりになっていたので、架台から鏡筒だけ外して使用しています。鏡筒については、手持ちのスカイウォッチャー EQ6R pro (アリミゾ)に載せたかったので、アリガタレールがくっつくように、厚み1cm程度のアルミ板を職場の工作機械で加工して、ゲタを3つ作り、なんとか鏡筒にひっつけております。

自宅の庭にたたずむマイ観測機材ども。

↑こちらがマイ機材(の一部)です。ピラーもスカイウォッチャー製(ケンコーがOEMで出しているやつと多分同じ)で、車輪がついているのが good です。実は1年半くらい前に、家を建てた関係で庭があり、自宅観測用に土間コンを打ったところがあるので、そこにピラーを出しています。連夜で撮影が続くときはタイヤ保管用の銀色のカバーをかぶせて出しっぱなしにすることもありますが、雨天が心配されるときは軒下に移動させます。夏場の灼熱期間や台風などが心配される場合は、赤道儀や鏡筒は基本屋内に退避させています。

なお、赤道儀の制御についてはハンドコントローラーでやっていました(メジャーどころの資料撮影では事足りるので)。しかし、さすがに変光星観測となってくるとハンドコントローラーでは物足りないので、最近は WiFi アダプターを差して、スマホから SkySafari などで自動導入&遠隔操作しています。

20~30cm 級の鏡筒はいつかお金が貯まったら… と遠く夢見ていただけに、急に理想の筒が手に入ってしまったので、ついついヤフオクで良さげな CCD がないか眺めている日々でした。そんなとき、この2月に QSI 628s なるモノクロ冷却CCDカメラ(16 bit)を発見し、なんとかお小遣いでも買えそうな額だったので、即決でポチってしまったわけです。CCD の制御に関しては APT (Astro Photography Tool) という撮像・赤道儀・オートガイドなどの制御を統合的に行うソフトを使っています。まだ使い慣れないのですが、似たようなソフトとして N.I.N.A. (NIGHTTIME IMAGING ‘N’ ASTRONOMY) といのもあり、今後はどっちが自分に合っているか試しながら使っていこうと考えています。

オートガイドについては Orion StarShoot というのを使っていますが(これは姫路に居た2013年頃に買ったやつです)、今回のテスト観測では使いませんでした。というのも、極軸合わせは QHY の PoleMaster を持っているので、これで合わせるとかなりイイ感じの追尾精度が出るからです(眼視極望で合わせたのと大差無いという意見もあるようですが)。ただし、今後5~6時間という長時間の連続測光をやるようなときは、オートガイドがあったほうが安心でしょう。

制御用のPC については中古ジャンクで買った Surface Pro3 を使っていまして、庭で撮影中は適当な箱に入れて屋外に放置し、それを室内のPC(無線経由)からリモートで監視・操作しています。Surface はコンパクトなので遠征撮影先でも重宝しているのですが、USBの差し口が1つしか無いので、使う機材によってはUSBハブが必要になります。

IMAKO Observatory から見た南向きの眺め。

↑自宅の庭から見た南方向です。ほぼ田園が広がり、南向きで邪魔になるのは電線くらいです。家を建てるさい、土地探しをしたときは、撮影・観測のことを考えて、とにかく南の空が開けているところを探しました。山の稜線の上にはカノープスもよく見え、最終目標である自宅からの新星サーベイのためにも(いつ開始するかはまだまだ未定)、ココを選んで良かったと思っています(もちろん35年ものローンを組んでいるわけですが ^^;)。なお、一度自宅の夜空の明るさを測定したところ、20.0 mag/□” という感じでした。一方で、車で1時間くらいかけてよく訪れる遠征撮影地だと、21.2 mag/□” という感じで、国内でも指折りの空が残されている感じでしょうか。


今回、本当に懐かしき矮新星の連続測光観測をやったわけですが、2児の父ということもあり(長男はいよいよ4月から小学生!)、あくまでマイペースにやっていく予定です。子どもを寝かしつけていたら、自分もそのまま一緒に寝てしまうこともよくあります。何より撮ったデータで研究をするような野心もありません。でも、こういう観測はやっぱり好きなんだなぁ、というのが正直なところです。また何か観測したら、ここにアップするかもです。あと機材関係の話題なども。

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傘と星座

※これまで、仕事で蓄積してきた天文系の工作や実験などについて、備忘録がてらこの blog に記録しておくことにする。

さて、星座傘といえば、群馬のOさんが開発されたこれ(星座早見傘)が業界では大変有名である。実用性を兼ねており、教育・普及の現場で色々な方が活用されていることと思います。

そういった中、もっと簡単な工作で(小さな子でも)、星座や夜空に親しみを持ってもらえればと思い、2016年度に我流の超簡易星座傘を考えたことがありました(星座早見的な実用性は無い)。

【準備物】イベント中に使ったスライドより抜粋

用意するものは、100円ショップのビニール傘(6本骨)、大中小に切り抜かれた星型シール、星座シート6枚(自作)である。

【台紙にあわせて星型シールを貼っている様子】

イベント参加者の作業じたいは非常に単純で、傘をひろげた状態で、星座シートを下にしき、星座の形(星の位置)にあわせて星型のシールを貼るだけである。(オプションとして、カラーの油性マジックで、星座線を引くのもアリだろう)

【星型シールの貼り方 / 星の明るさとシールの大きさの関係】イベント中に使ったスライドより抜粋

一応、星の明るさは考慮して(超大雑把に)、大中小の星型シールはある区間の等級に該当するようにした。ただ対象が小学校低学年だったこともあり(学校ではまだ星座のことすら学習していないため)、星の色までは再現しなかった。星型シールの色はランダムに準備し、子どもたちが好きな色で星座を作る形式をとった。そのため女の子なんかは、ピンク一色を頑張って寄せ集め、キュートな北斗七星ができたりもしていた。ちなみに、星の色と表面温度の関係は、発展的な内容として小学4年時に学習するため、対象(学年)によっては、星型シールの色を考慮してあげても良いだろう。

100円ショップ (ダイソー) で買ったホログラムシール.

なお、星型のシールはホログラムシールを用いて作成する。この商品は100円ショップにて折り紙サイズで売っていたものである(1つ5色×2枚ずつ、計10枚入り)。私の場合、これを星型のパンチで、自分でひたすら打ち抜いて準備した。ちなみに、このホログラムシールは粘着面(裏面)も銀色のホログラムになっており、シールを貼った反対側からもキラキラ見えるのが嬉しいポイントだったりする。

大中小の星型パンチ。中サイズ(中央)のパンチは100円ショップ。それ以外は楽天などで探したもの。

星型のパンチは大中小、それぞれサイズ感をあーでもない、こーでもないと試行錯誤し、以下のようなサイズで打ち抜けるものを選んだ(パンチは上の写真の通り)。大サイズは約2.5cm、中サイズは約1.5cm、小サイズは約1.2cm。イベントでは当時、35セット準備する必要があったので、大サイズは175個、中サイズは840個、小サイズは420個の星々を打ち抜いた。大・中のパンチはテコの原理式なので指の負担が少ないが、小サイズは鉛直に押し切るタイプで、失敗も多く(指が一番疲れる)、準備に最も苦労した点かもしれない。

ちなみに、100円ショップを巡っていると、星型のシールそのものが、売っていることもあるので、うまくイイものが見つかれば、修行のようにパンチをやる必要は無いだろう (^^; あと、星型パンチを複数用意できる(資金面に余裕がある)場合は、参加者に打ち抜いてもらうのもい良いかもしれない。

もし興味のある人は、以下に星座シートなどのファイルを置いておくので、天文の教育・普及(非営利)が目的であるなら、ご自由にお使いください(この記事のコメント欄に「使わせてもらうよ」と一言あると嬉しいかも)。スライドはあくまで参考程度に (^^;

シート内には北斗七星、しし座、はくちょう座、こと座、カシオペヤ座、オリオン座があります。しし座を除いて、小学校でも学習するものばかりです。本当はさそり座も入れたかったのですが、夏に偏るのでイベントでは除外(さそり座といて座のシートも作っていましたがお蔵入りっす)。

本工作はJAXA宇宙教育センターが後ろ盾となる「コズミックカレッジ」内で行ったものです。実施は2017年2月(2016年度)で、実施報告が JAXA のホームページで公開されている。

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γ Per の観測 (2019/11/14~11/30)

デジカメで観測した γ Per の2019年における食.

2019年11月14日~30日までの γ Per の光度曲線です。とりあえず、食は終わりました。残念ながら、天候の関係で第3, 第4接触のあたりを観測することができませんでした。FB には暫定的な光度曲線を UP していましたが、ボトムの部分のばらつきが大きいような気がしていました。それで、1回の観測でおよそ4~6枚の画像を撮っていたので、それらを全部測定。同じ日の画像でも V は比較的ばらつきが少なかったですが、B, Rc は日によっては 0.1 mag 程度ばらつく場合もありました。上記の光度曲線の測光値は、日毎に平均をとったものを採用しています。さて、一応これから VSOLJ-obs にも報告をしようと思います。

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γ Per の観測 (2019/11/19)

11/18 は予報通り悪天候でした。11/19 は観測ができ、測光してみるとB, V は 11/17 より約0.1 mag は暗くなっていそうです。Rc については 17日とあまり変わらず。11/19 のデータはエラーが少し大きいので、再測定をするかもです。第二接触は 11/18 だったんですかねぇ?!とりあえず、ライトカーブは暫定的なものとしてご覧ください。

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γ Per の観測 (2019/11/17)

γ Per の変光の様子 (B channel).左が 11月17日,右が16日の画像.

 

γ Per の食がはじまったと思われます。前日の画像 (B ch.) と比較しても、暗くなっているのがわかります。一応、測光してみると以下のような暫定値を得ました:

PERgamma 201911172344 4.01B Iak
PERgamma 201911172346 4.02B Iak
PERgamma 201911172344 3.12V Iak
PERgamma 201911172346 3.14V Iak
PERgamma 201911172344 2.67Rc Iak
PERgamma 201911172346 2.71Rc Iak

平常時と比べると B band で約 0.4 等、V band で約 0.2 等の減光でしょうか。Rc も減光してそうな気がしますが、ばらつきもあるので、もう少し様子見ですね。ちなみに、一気にボトムになっちゃたのかと思いましたが、過去の観測によれば、あと0.1等くらい暗くなるのかもしれませんね。明日の動向も気になるところですが、徳島は明日から天気が崩れそうです。もう数日観測して、観測点が増えてきたらライトカーブも作ろうと思います。

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γ Per のモニター開始

EOS kiss Digital X7i + EF 40mm F2.8, ISO100, 絞りF4.5, 露出20sec. 数字のついた星を比較星としている (計9星).

色々と思い出しながら、自己流でやっていたデジカメ測光観測で、γ Per のモニターを開始しました。かつてデジカメで ζ Aur の食を (特に B band で) 観測できたので、γ Per も同じように減光が捉えられる気がします。早速、11月14日と16日の晩に撮ったデータを測光してみました。

PERgamma 201911142142 3.63B Iak
PERgamma 201911142142 2.94V Iak
PERgamma 201911142142 2.59Rc Iak
PERgamma 201911162157 3.60B Iak
PERgamma 201911162157 2.96V Iak
PERgamma 201911162157 2.64Rc Iak

まだ食は始まっていない感じでしょうか。しばらくモニターを続けてみようと思います。なにぶん観測リハビリ中なので、値は暫定値です。よって VSOLJ への報告はもう少し様子を見てからにします。

なお、機材やカメラの設定は写真につけたキャプションの通りです。フォーカスは電子制御なので、再現性を保つためにピントリングをビニールテープで固定して動かないようにしています。あと架台には nano.tracker を使っています。観測じたいは自宅の玄関先で5~10分もあればできるので、大変お手軽です。RAWデータのRGB分解については、UGEM を使わせて頂いています(昔は IRIS を使ってました)。測光や標準変換なんかについては昔と変わらずです(マカリィ + 自作のRコード)。

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UGEM (ゆげむ) の測光と設定

UGEM (ゆげむ) の測光に関わる設定について、Kai さんや Mdy さんから同じようなコメントを頂きました。早速ありがとうございます☆

広視野撮影の場合、当然周辺減光や端のあたりは像の歪みもあるので(測光値に悪影響を与えるゆえ)、これを測光の対象としない設定があるとのことでした。具体的には測光設定の『画面測光範囲』という項目内で、【円内のみ】を指定すべし、ということです。Kai さんが教えてくださった数値も参考にしながら、とりあえず私は%で指定することにし、色々試したところ自分の機材 (EOS kiss Digital X7i + 50mm F1.8; 絞りF3.5) では90%であれば、良さそうな感触です。

あと、光度計算区分というところは、それぞれどういう結果がかえってくるのか、他の設定は同じにして、同じ画像を測光してみることに(VSOLJ-obs に報告した画像とは異なる画像を使ってます)。

全体平均 1次関数 2次関数 アンサンブル
CRBT 10.02 9.99 9.97 9.93
CRBRY 9.58 9.52 9.50 9.48
CRBAB 9.04 8.94 8.94 8.94
CRBAG 9.29 9.21 9.20 9.19
CRBAL 8.37 8.22 8.27 8.27
CRBCD 10.68 10.70 10.69 10.59
HERU 10.78 10.81 10.80 10.68
HERSX 8.24 8.08 8.14 8.14
HERBE 9.20 9.12 9.11 9.11
HERNP 10.20 10.18 10.16 10.10
HERV604 11.24 11.30 11.31 11.14
HERV653 10.89 10.93 10.92 10.79
HERV890 9.22 9.13 9.12 9.12
HERV894 8.22 8.06 8.12 8.12
HERV900 8.68 8.55 8.57 8.58
HERV901 8.62 8.49 8.52 8.52
HERV909 8.52 8.38 8.41 8.42
HERV926 9.13 9.04 9.04 9.04
HERV1226 9.83 9.78 9.76 9.73
測光誤差 0.282 0.277 0.277 0.277
比較星数 2945 2951 2953 2920

# ここで測光誤差とはヘルプによれば「測光に使用した比較星の平均誤差」とのこと。
# ほかの画像でも大概 0.2 mag はあるのですが、広視野ゆえ?!

さて、星によって、なんとも言えない部分もありますが、
1次関数、2次関数、アンサンブルは似たような結果です。一方で全体平均はそれらに比べると少し暗い値になる傾向があるようです(今のところ、私はマニュアルに従って2次関数を使っています)。

それから、一応撮影時は同じ観測領域を2~3枚撮っていました。ついでなので、同じ領域の画像(3枚)を複数測光すると、どのくらいばらつくのか見てみることに。
# 何故か1~2枚でしか測光されない星もありました。
# 3枚とも測光できている星を赤色、2枚測光できたものを緑色にしています。

object mag
LIBR 10.74
LIBU 9.78
LIBU 9.71
LIBU 9.90
LIBV338 11.25
LIBV338 10.99
OPHV2129 10.97
SCOBK 10.20
SCOBK 10.27
SCOBK 10.16
SCORZ 9.33
SCORZ 9.40
SCORZ 9.42
SCOV1026 9.04
SCOV1026 9.04
SCOV1026 8.95
SCOV1053 8.88
SCOV1053 8.82
SCOV1149 10.33
SCOV1149 10.27
SCOV1149 10.20
SCOV1315 9.46
SCOV1315 9.42
SCOV1315 9.53
SCOV894 10.88
SCOV894 10.62
SCOVZ 10.85
SCOX 11.30:
SCOZ 10.39
SCOZ 10.33
SCOZ 10.40

このとき環境設定で以下の値は

・星認識(最低画素数) = 12
・星認識(最高値輝度) = 7

として、測光方法の設定値は

・アパーチャー手動(恒星径 = 1, スカイ内径 = 8, スカイ幅 = 8)
・光度計算区分 = 2次関数
・画像測光範囲 = 円内のみ -> 90%

としました。まず結果から見るに(良い感じに見えるデータもありますが)、少なくとも0.1~0.2等のばらつきは覚悟しておく必要がありそうです。この3枚の画像の測光についても、環境設定や測光設定を色々試しました(設定が適切でないと?!同じ星でも最大で0.5等くらい結果が異なることがありました)。上記はその検証の中で、最も良さげな結果を挙げています。

最もばらつきを抑えられた要因としては、アパーチャーを手動にした点でした。最初はアパーチャー自動でやっていましたが、この手法は1つの画像内での最適なアパーチャーを設定してくれる関係で、画像ごとにアパーチャーのサイズが微妙に異なることになります。それで「これ、同じ領域を短時間で撮ってるからアパーチャー・サイズを同じにしても良いのでは?」と思い、手動設定を試してみることに。

UGEM (ゆげむ) ではアパーチャーを手動設定にすると、同じサイズのアパーチャーが複数の画像で適用されます。その効果あってか?!、見た目にばらつきは抑えられた感じです。なお手動での設定値は、まず自動ではじき出されるサイズを参考に、3枚ともに使えそうな値を適当に決めました。ただ、たった3枚でばらつき具合を見るのは物足りない気もすします。一度、一つの領域を10枚以上は撮って、検証してみたいところです。

今のところ思うのは(当然のことではありますが)、同じ機材や画像であっても、UGEM (ゆげむ) の設定値次第で測光結果が変わってくるので、そこは観測者で最適な設定値を色々吟味する必要がありそうです(特に広視野撮影は?)。こういった検証をもう少しやってから、VSOLJ-obs に報告すべきでだったなと… ちょっと反省中(ソフトの便利さにうかれてしまいましたorz)。

ただ、 Kai さんによれば、なかなか良き結果が得られているというご報告もあるので、どこか私の使い方が悪い面もあるやもしれません。広視野観測の場合は、10枚程度の画像を得て、平均値を報告するのが無難でしょうか。便利なことに、UGEM (ゆげむ) には観測報告用の形式を見れるウィンドウ部に【同一合算】というチェックボックスがあり、そこを押すと平均値を与えてくれます。

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2019/06/24の観測

久々にスカっと晴れたので、デジカメ観測をしました。今回は U Sco 、T CrB、アルタイル付近を中心に入れて、3カ所撮りました。なおレンズは、Canon の撒餌レンズこと EF 50mm F1.8 II を使っての広視野撮影です。絞りは F3.5, ISO3200, 露出は30秒。架台はお手軽な nano.tracker です。あとフォーカスは微妙に甘くしてあわせました。

とりあえず、UGEM (ゆげむ) で196件の測光結果が出力されました (# U Sco 異常なし!)。一応 KWS などとデータを見比べて、怪しいのは除外して75件のデータを VSOLJ に報告しました。現状、チェックが大変なのもありますが、半分以上のデータを捨てている状態です。結果が怪しいものは、大概 …

目的星に対して他の星が重なっている or 非常に近い星がいる
画像のかなり端に写っている
画像の端で星像が悪い

などの理由がよく当てはまりましたが、時々上記に当てはまらないものもありました。このあたりは、測光の設定をもう少し検討してみる必要性があるでしょうか。とりあえず、メモがてら、現在の設定(スクショ)を残す:

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