UGEM (ゆげむ) の測光に関わる設定について、Kai さんや Mdy さんから同じようなコメントを頂きました。早速ありがとうございます☆
広視野撮影の場合、当然周辺減光や端のあたりは像の歪みもあるので(測光値に悪影響を与えるゆえ)、これを測光の対象としない設定があるとのことでした。具体的には測光設定の『画面測光範囲』という項目内で、【円内のみ】を指定すべし、ということです。Kai さんが教えてくださった数値も参考にしながら、とりあえず私は%で指定することにし、色々試したところ自分の機材 (EOS kiss Digital X7i + 50mm F1.8; 絞りF3.5) では90%であれば、良さそうな感触です。
あと、光度計算区分というところは、それぞれどういう結果がかえってくるのか、他の設定は同じにして、同じ画像を測光してみることに(VSOLJ-obs に報告した画像とは異なる画像を使ってます)。
全体平均 | 1次関数 | 2次関数 | アンサンブル | |
CRBT | 10.02 | 9.99 | 9.97 | 9.93 |
CRBRY | 9.58 | 9.52 | 9.50 | 9.48 |
CRBAB | 9.04 | 8.94 | 8.94 | 8.94 |
CRBAG | 9.29 | 9.21 | 9.20 | 9.19 |
CRBAL | 8.37 | 8.22 | 8.27 | 8.27 |
CRBCD | 10.68 | 10.70 | 10.69 | 10.59 |
HERU | 10.78 | 10.81 | 10.80 | 10.68 |
HERSX | 8.24 | 8.08 | 8.14 | 8.14 |
HERBE | 9.20 | 9.12 | 9.11 | 9.11 |
HERNP | 10.20 | 10.18 | 10.16 | 10.10 |
HERV604 | 11.24 | 11.30 | 11.31 | 11.14 |
HERV653 | 10.89 | 10.93 | 10.92 | 10.79 |
HERV890 | 9.22 | 9.13 | 9.12 | 9.12 |
HERV894 | 8.22 | 8.06 | 8.12 | 8.12 |
HERV900 | 8.68 | 8.55 | 8.57 | 8.58 |
HERV901 | 8.62 | 8.49 | 8.52 | 8.52 |
HERV909 | 8.52 | 8.38 | 8.41 | 8.42 |
HERV926 | 9.13 | 9.04 | 9.04 | 9.04 |
HERV1226 | 9.83 | 9.78 | 9.76 | 9.73 |
測光誤差 | 0.282 | 0.277 | 0.277 | 0.277 |
比較星数 | 2945 | 2951 | 2953 | 2920 |
# ここで測光誤差とはヘルプによれば「測光に使用した比較星の平均誤差」とのこと。
# ほかの画像でも大概 0.2 mag はあるのですが、広視野ゆえ?!
さて、星によって、なんとも言えない部分もありますが、
1次関数、2次関数、アンサンブルは似たような結果です。一方で全体平均はそれらに比べると少し暗い値になる傾向があるようです(今のところ、私はマニュアルに従って2次関数を使っています)。
それから、一応撮影時は同じ観測領域を2~3枚撮っていました。ついでなので、同じ領域の画像(3枚)を複数測光すると、どのくらいばらつくのか見てみることに。
# 何故か1~2枚でしか測光されない星もありました。
# 3枚とも測光できている星を赤色、2枚測光できたものを緑色にしています。
object | mag |
LIBR | 10.74 |
LIBU | 9.78 |
LIBU | 9.71 |
LIBU | 9.90 |
LIBV338 | 11.25 |
LIBV338 | 10.99 |
OPHV2129 | 10.97 |
SCOBK | 10.20 |
SCOBK | 10.27 |
SCOBK | 10.16 |
SCORZ | 9.33 |
SCORZ | 9.40 |
SCORZ | 9.42 |
SCOV1026 | 9.04 |
SCOV1026 | 9.04 |
SCOV1026 | 8.95 |
SCOV1053 | 8.88 |
SCOV1053 | 8.82 |
SCOV1149 | 10.33 |
SCOV1149 | 10.27 |
SCOV1149 | 10.20 |
SCOV1315 | 9.46 |
SCOV1315 | 9.42 |
SCOV1315 | 9.53 |
SCOV894 | 10.88 |
SCOV894 | 10.62 |
SCOVZ | 10.85 |
SCOX | 11.30: |
SCOZ | 10.39 |
SCOZ | 10.33 |
SCOZ | 10.40 |
このとき環境設定で以下の値は
・星認識(最低画素数) = 12
・星認識(最高値輝度) = 7
として、測光方法の設定値は
・アパーチャー手動(恒星径 = 1, スカイ内径 = 8, スカイ幅 = 8)
・光度計算区分 = 2次関数
・画像測光範囲 = 円内のみ -> 90%
としました。まず結果から見るに(良い感じに見えるデータもありますが)、少なくとも0.1~0.2等のばらつきは覚悟しておく必要がありそうです。この3枚の画像の測光についても、環境設定や測光設定を色々試しました(設定が適切でないと?!同じ星でも最大で0.5等くらい結果が異なることがありました)。上記はその検証の中で、最も良さげな結果を挙げています。
最もばらつきを抑えられた要因としては、アパーチャーを手動にした点でした。最初はアパーチャー自動でやっていましたが、この手法は1つの画像内での最適なアパーチャーを設定してくれる関係で、画像ごとにアパーチャーのサイズが微妙に異なることになります。それで「これ、同じ領域を短時間で撮ってるからアパーチャー・サイズを同じにしても良いのでは?」と思い、手動設定を試してみることに。
UGEM (ゆげむ) ではアパーチャーを手動設定にすると、同じサイズのアパーチャーが複数の画像で適用されます。その効果あってか?!、見た目にばらつきは抑えられた感じです。なお手動での設定値は、まず自動ではじき出されるサイズを参考に、3枚ともに使えそうな値を適当に決めました。ただ、たった3枚でばらつき具合を見るのは物足りない気もすします。一度、一つの領域を10枚以上は撮って、検証してみたいところです。
今のところ思うのは(当然のことではありますが)、同じ機材や画像であっても、UGEM (ゆげむ) の設定値次第で測光結果が変わってくるので、そこは観測者で最適な設定値を色々吟味する必要がありそうです(特に広視野撮影は?)。こういった検証をもう少しやってから、VSOLJ-obs に報告すべきでだったなと… ちょっと反省中(ソフトの便利さにうかれてしまいましたorz)。
ただ、 Kai さんによれば、なかなか良き結果が得られているというご報告もあるので、どこか私の使い方が悪い面もあるやもしれません。広視野観測の場合は、10枚程度の画像を得て、平均値を報告するのが無難でしょうか。便利なことに、UGEM (ゆげむ) には観測報告用の形式を見れるウィンドウ部に【同一合算】というチェックボックスがあり、そこを押すと平均値を与えてくれます。
手動アパーチャはやったことありませんでした。今度やってみます。
測光範囲は短辺に対する90%ですから大きめの日の丸みたいな感じですね。
一枚だけの測光だとばらつきが大きいですから正確を期すためには複数の平均が必要ですね。ですから私は小数点以下は0.1までしか出していないです。一回に5枚とか10枚とか撮って平均すれば精度も出るでしょうが。
今準備中の天網恢恢計画ことNagasaki Allsky VS Patrolも写野をずらして2枚撮ります。そうすると必ず2回、多い時は4回撮ることになります。
連続測光なんかをやるときも、アパーチャー固定ですし、同じ領域の測光なら良好な結果を与えてくれそうな感じがします。今後は、10枚くらいでのばらつきを検証しつつ、VSOLJ-obs に報告をしたいと思います。