2022/02/24の観測

矮新星 SX LMi (2022/02/24) の光度曲線

久方ぶりに、院時代のライフワークだった矮新星の観測をしました。VSNET を見たらこの星が面白そうだったので、リハビリや機材テストも兼ねて撮りました。スーパーアウトバースト中みたいで、0.2~0.3 mag 程度のスーパーハンプが検出されました。とりあえず VSOLJ-obs にも報告済みです。

ノーフィルターで撮像した画像例(上が北)。V = SX LMi、C = 比較星 (12.97 Vmag)、K = チェック星 (14.35 Vmag)。

↑観測した画像の例です。視野は約26 x 22 分角という感じです (f=1600mm)。ビニングは 3×3 としました。使ったカメラのピクセルサイズが 4.54 ミクロンということもあり、まぁ 3×3 でも問題無いだろうと判断しました。アンダーサンプリングにならないか、多少心配しましたが、かつて 大学の ST-7XE (9ミクロン) で観測していたときは 2×2 ビニングで撮っていたので、まず問題無いですよねぇ(多分)。

測光については、AIP4Win (v2.4.10) を使いました。このソフト、いつの間にやら、ソフト側で registration が要らなくなって、誰でもインストール&利用できるようになっています。ただし、ココにアクセスしてコミュニティにユーザー登録をしないと、DL 画面に行けないようになっています。自分がかつて使っていた頃に比べると、だいぶバージョンがあがっていますが、おいおい!っていうバグもありますね。例えば、ダークやフラットのマスターフレームを作成し、それを保存しようとすると、エラーが発生します。これは以前は普通に使えた機能なのですが・・・。


ちなみに、数年前からチマチマと(教育・普及向けの資料撮影用)としてマイ機材を増やしていたのですが、昨年、ひょんなことからミードの25cm (F6.3 / ワイドフィールド版) を知り合いの方から譲り受けることになりました。フォーク架台(LX-200)は通電もせずお亡くなりになっていたので、架台から鏡筒だけ外して使用しています。鏡筒については、手持ちのスカイウォッチャー EQ6R pro (アリミゾ)に載せたかったので、アリガタレールがくっつくように、厚み1cm程度のアルミ板を職場の工作機械で加工して、ゲタを3つ作り、なんとか鏡筒にひっつけております。

自宅の庭にたたずむマイ観測機材ども。

↑こちらがマイ機材(の一部)です。ピラーもスカイウォッチャー製(ケンコーがOEMで出しているやつと多分同じ)で、車輪がついているのが good です。実は1年半くらい前に、家を建てた関係で庭があり、自宅観測用に土間コンを打ったところがあるので、そこにピラーを出しています。連夜で撮影が続くときはタイヤ保管用の銀色のカバーをかぶせて出しっぱなしにすることもありますが、雨天が心配されるときは軒下に移動させます。夏場の灼熱期間や台風などが心配される場合は、赤道儀や鏡筒は基本屋内に退避させています。

なお、赤道儀の制御についてはハンドコントローラーでやっていました(メジャーどころの資料撮影では事足りるので)。しかし、さすがに変光星観測となってくるとハンドコントローラーでは物足りないので、最近は WiFi アダプターを差して、スマホから SkySafari などで自動導入&遠隔操作しています。

20~30cm 級の鏡筒はいつかお金が貯まったら… と遠く夢見ていただけに、急に理想の筒が手に入ってしまったので、ついついヤフオクで良さげな CCD がないか眺めている日々でした。そんなとき、この2月に QSI 628s なるモノクロ冷却CCDカメラ(16 bit)を発見し、なんとかお小遣いでも買えそうな額だったので、即決でポチってしまったわけです。CCD の制御に関しては APT (Astro Photography Tool) という撮像・赤道儀・オートガイドなどの制御を統合的に行うソフトを使っています。まだ使い慣れないのですが、似たようなソフトとして N.I.N.A. (NIGHTTIME IMAGING ‘N’ ASTRONOMY) といのもあり、今後はどっちが自分に合っているか試しながら使っていこうと考えています。

オートガイドについては Orion StarShoot というのを使っていますが(これは姫路に居た2013年頃に買ったやつです)、今回のテスト観測では使いませんでした。というのも、極軸合わせは QHY の PoleMaster を持っているので、これで合わせるとかなりイイ感じの追尾精度が出るからです(眼視極望で合わせたのと大差無いという意見もあるようですが)。ただし、今後5~6時間という長時間の連続測光をやるようなときは、オートガイドがあったほうが安心でしょう。

制御用のPC については中古ジャンクで買った Surface Pro3 を使っていまして、庭で撮影中は適当な箱に入れて屋外に放置し、それを室内のPC(無線経由)からリモートで監視・操作しています。Surface はコンパクトなので遠征撮影先でも重宝しているのですが、USBの差し口が1つしか無いので、使う機材によってはUSBハブが必要になります。

IMAKO Observatory から見た南向きの眺め。

↑自宅の庭から見た南方向です。ほぼ田園が広がり、南向きで邪魔になるのは電線くらいです。家を建てるさい、土地探しをしたときは、撮影・観測のことを考えて、とにかく南の空が開けているところを探しました。山の稜線の上にはカノープスもよく見え、最終目標である自宅からの新星サーベイのためにも(いつ開始するかはまだまだ未定)、ココを選んで良かったと思っています(もちろん35年ものローンを組んでいるわけですが ^^;)。なお、一度自宅の夜空の明るさを測定したところ、20.0 mag/□” という感じでした。一方で、車で1時間くらいかけてよく訪れる遠征撮影地だと、21.2 mag/□” という感じで、国内でも指折りの空が残されている感じでしょうか。


今回、本当に懐かしき矮新星の連続測光観測をやったわけですが、2児の父ということもあり(長男はいよいよ4月から小学生!)、あくまでマイペースにやっていく予定です。子どもを寝かしつけていたら、自分もそのまま一緒に寝てしまうこともよくあります。何より撮ったデータで研究をするような野心もありません。でも、こういう観測はやっぱり好きなんだなぁ、というのが正直なところです。また何か観測したら、ここにアップするかもです。あと機材関係の話題なども。

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2022/02/24の観測 への4件のフィードバック

  1. 久保寺克明 のコメント:

    はじめまして、神奈川県小田原市の久保寺(Kub)といいます。

     Vsolj-obsのメーリングリストのメーリングリストを見ていましたら、Imanuraさんの観測データ(SX LMi)が流れていましたので、こちらにきて拝見しました。興味ある書き込みで、あとでじっくり読み直したいと思います。SX LMiは、2/25に同様のスーパーハンプがとらえられました。2/26のデータはこれから解析です。

     UGEMについても、関心がありますが、使ったことはありません。そちらは、みなさんから教えてもらわないといけないです。

    • IMAKO (Iak) のコメント:

      はじめまして。コメントありがとうございます。私の報告を見て、わざわざ当ホームページにお越し頂き恐縮であります。観測も HP 更新も気まぐれなので、どうかあたたかい目でご覧ください (^^; UGEM は最初少し触っていたのですが、二人目が生まれてからは、生活の変化も大きく、パッタリと触らなくなってしまいました。実はに日本変光星研究会の事務局を担当しておりまして、会のホームページ上で UGEM4 を最近公開しましたので、宜しければご覧ください。
      https://ananscience.jp/variablestar/?page_id=70

      • 久保寺克明 のコメント:

         アドバイス、ありがとうございます。しばらく日本変光星研究会のHPを見ていませんでした。失礼しました。早速UGEMのマニュアルを読んでいます。

         充実したお忙しい時期で活躍されているのですね。私は、神奈川の西部、箱根のふもとからです。退職はしたのですが、家業もあり、思うように星が見られないこともあります。冷却CCDで短周期の食連星や手が届く明るさの矮新星などを観測しています。いろいろと情報交換やご指導いただければ幸いです。
         記載したサイトは、私がよく書き込みをする小田原星について語る会のHPです。

        • IMAKO (Iak) のコメント:

          追加のお返事ありがとうございます。久保さんの観測報告と blog を拝見しました。数々の素晴らしい観測結果を出されており、私のような半端者の言葉はもはや不要なレベルに達しておられると思います☆ こちらこそ、今後とも宜しくお願い致します。

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