γ Per の食に向けて

先日、某所でγ Per (P~14.5 yr) の食が2019年末にあるという話を聞きました。どうやら、この話題は2015年の某会議で岡山の O 氏が発表をされています(資料はこちら)。

この星は ζ Aur みたいに、短波長側での減光が深いようで、少なくとも B band での観測が望まれます。しかし、約3等星の測光になるので、観測には色々と工夫がいりそうです。ちなみに、私は2011年頃にζ Aur の食をデジカメで観測し、ばらつきはありますが B, V で変光を捉えることができました(参考: 過去 blog, 変光星観測者会議2012の集録原稿)。ところが、この観測データを VSOLJ-obs に報告し忘れていたので、7~8年の時を経て、今日報告を行いました。

zeta Aur の光度曲線 / 2011年時の食 (VSOLJ Light Curve Generator より)

さて、γ Per のB , V の減光幅を考慮すると、おそらくζ Aur のときと同じ要領で観測すれば、デジカメでぼちぼちのデータが得られるのではないかと想像しています。それまで、UGEM を使いながら、観測者としての勘も取り戻していきたいところです。

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UGEM (ゆげむ) を使ってみた

2019年6月12日の晩、久々に変光星観測をするためカメラ (DSLR) を空に向けました(自宅のベランダから)。測光には VSOLJ で話題の増光監視ソフト UGEM (ゆげむ) を初めて利用させて頂きました。

マニュアルを見ながら初期設定をし、はじめは色々設定をミスりながらも… 何とか正常に動かすことができました。テスト時の機材は EOS kiss Digital X7i + 50mm, F1.4 です (架台は nano.tracker)。この組合せだと対角で約30°はあります。撮影はとりあえず適当に Her あたりを撮りました。UGEM で測光してみると高速でマッチングや測光が終わり、変光星ごとに四角くトリミングされた画像がリスト化され… うひょー!なにこれ、ホンマ凄い。色々感想はあるのですが、とてつもなく便利なソフトで本当に驚きました。

あと通常、観測をする人は画像の上を北にするかと思いますが、ポータブル赤道儀に自由雲台を載せて撮るような場合は、画像の南北がかなり無茶苦茶になります。そんな画像でも中心座標さえ把握してファイル名に反映させれば、きちんと測光してくれましたので、その点も素晴らしすぎる!と思いました。

そんなこんなで気をよくして、他の領域 (Aql, Peg あたり) も幾つか撮り、UGEM で測光すると、100件以上の結果がすぐに吐き出されました。このとき、測光方法の設定をマニュアルを見ながら色々試しました。ちなみに結果として出てくる星は、知らない変光星ばかりなので、念のため KWS などとじっくり比較し、明らかに変なのを除いて VSOLJ-obs に報告しました。

測光結果が悪かった星の要因としては、

・星が重なっている
・アパーチャー測光だとスカイの部分に (多分) 別な星がいる
(リスト画像に任意でアパーチャーの範囲を示す機能もあると判断しやすい?!)
・測光対象が画像の端に近い

でしょうか。ただ上記に関連しない星であっても測光値が怪しいのも幾らかありました。実は使っているレンズが古いので、レンズ由来と思われる色収差などが盛大に出ています。もしかしたらデジタルカメラ向けの新しめのレンズを使えば、改善する可能性もあるでしょうか。今後は別なレンズでテストしたいと思います。

なお撮影時の設定は Her あたりは

・exp. time 20sec, ISO 1600, F1.4 -> F2

Aql, Peg あたりは

・exp. time 20sec, ISO 3200, F1.4 -> F4

でした。F4 に絞ったのは周辺の星像を改善するためです。

それにしても、このソフトの登場で特にデジカメ測光観測のデータ処理が格段に楽になったと思います。製作者のK氏ならびに、開発協力・普及に尽力された Mdy さんには、恐れながらここに深く御礼申し上げる次第です。しばらく、UGEM で広視野観測を続けてみたいと思います。

ちなみに、広視野観測を続けるとなると、一つ期待してしまうことがあります。それは、やはり新天体(新星など)の検出です。Mdy さんにお伺いしたところ、UGEM では新天体が写っていたとしても、ソフトからのリアクション機能は無いとのこと。一方で UGEM は K氏製作の CCDF という新天体検出ソフトがベースになっていることも知ることができました。新星好きとしては、この CCDF というソフトウェアも大変興味があるところです☆

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アルゴルの極小予報2019年

しばらく予報式が同じだったので、VSOLJ の Variable Star Bulletin に報告されているアルゴルの極小時刻 (2008~2017年) を参照し、予報式を改訂しました。なお2018年は、VSOLJにはアルゴルの極小観測がありませんでした。

 Min (HJD) = 2445641.521(14) + 2.867333(4)*E

※1)予報時刻は HJD のまま。
※2)時刻は日本時間 (JST; 33時間制) 。
※3)極小時の高度角 (Altitude) が 15 度以上を表記(観測地は徳島)。

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アルゴルの極小予報2018年

2016年時の予報式を用い、2018年におけるアルゴルの食の極小予報を計算。予報時刻は HJD のまま日本時間 (JST; 33時間制) に変換。テーブルには極小時の高度角 (Altitude) が 15 度以上、時間帯は 18~30時に該当するものを表記。

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アルゴルの極小予報2017

昨年の予報式を用い、2017年におけるアルゴルの食の極小予報を計算。予報時刻は HJD のまま日本時間 (JST; 33時間制) に変換。テーブルには極小時の高度角 (Altitude) が 15 度以上、時間帯は 18~30時に該当するものを表記。

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アルゴルの極小予報2016

2016年のアルゴルの極小時刻を計算しました。予報には Kazuo Nagai 氏が VSOLJ の Variable Star Bulletin に報告されているアルゴルの極小時刻 (2008~2015年) を参照し、それらの値をもとに最小二乗法で予報式を求めています。

今回求められた予報式は以下の通り:
 Min (HJD) = 2445641.492(15) + 2.867342(4)E

betaPER_2008_2015

なお予報時刻は HJD のまま日本時間 (JST; 33時間制) に変換しています。テーブルには極小時の高度角 (Altitude) が 15 度以上、時間帯は 18~30時に該当するものを表記しています(観測地点は岡山を想定)。

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肉眼新星あらわる

PNV J18365700-2855420

発見者はオーストラリアのジョン・シーチさん。等級を見てびっくり。え、6等?明るい!!いるか座新星から約2年。肉眼新星がまたもや現れるとは。あ、ちなみに早速分光による同定がされたみたいで、ATel に報告があがってました。

ATel #7230
Spectroscopic Observation of PNV J18365700-2855420 with the Liverpool Telescope

バルマー線をはじめ、Fe II などの輝線が受かっているようです。P Cygni profile も見られ、膨張速度は 2800 km/s くらい。fast nova かもしれませんね。それから、meineko さんも早速リモート望遠鏡で撮像されています(画像のリンク) 。さて極大は何等になるやら。

ちなみに、静穏時の明るさも VSNET に情報が流れてたので、私も Aladin で確認。TOCP にあがっている他の観測者の位置情報も考慮し、 GSC2.3 で確認してみると母天体は確かに S9TX014494 なのかなぁという感じ。明るさは GSC2.3 だと V=16.05 等、NOMAD だと V=15.37 等でした。

以下、いつもの今夜の高度変化と広めの確認星図:

PNVJ1836_Sgr_altitude

PNVJ1836_Sgr_chart

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アルゴルの極小予報2015

アルゴルの極小予報 2015 年版を計算しました。計算には Kazuo Nagai 氏が VSOLJ の Variable Star Bulletin へ投稿された報告書 (2008~2014年版) よりアルゴルの極小時刻を参照し、最小二乗法 (リニアー) で予報式を求めました  (発行されたばかりの Bulletin No. 59 のデータも参照しました)。

求められた予報式は以下の通り:
 Min (HJD) = 2445641.481(16) + 2.867345(6)E

betaPER_2008_2014

予報値は HJD のまま JST (33時間制) に変換しています。
(季節外れの時期とか昼間の時間もそのまま載せちゃって格好悪いので、そのうち高度角の計算も一緒にして、例えば10度以下は表示しないようにしたいと思ってます.)

[追 記]
早速 R のスクリプトを改良しました。
極小時の高度角が 15 度以上時間帯は 18~30時を抽出。
観測地点は岡山を想定。

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2014/11/29 の観測

CMIBB_20141129

一ヶ月近く間があいてしまいましたが… 自宅前での観測結果です。BB CMi という EW  を約7時間追ってみました。GCVS で検索をかけるとタイプは RRc になっていますが、VSX だと EW です。両方とも変光幅は0.8等くらいあると書いてますが、実際のところ観測では0.4等くらいですよね。

meineko さんもこの星について blog に書いておられました。自分の観測でもわかる通り、極小は平らだし、確かに脈動星ってことはなさそう。こういうのは IBVS なんかに書いておくと良いのかな?(食連星の分野ではもう周知の事実だから誰も手を出していない?)。

ところで、この日はオートガイドのケーブルが抜けていて、ガイドしているように見えて、赤道儀には全然信号を送っていなかったという痛いことをやってしまいましたorz なので、追尾エラーで星像が棒や団子になったりで、測光精度が落ちたっぽいです・・・

とりあえず、全位相をカバーすべくこの星をもう少し狙ってみましょうか。あと、Nga さんが私の YY Eri の観測を取り上げて下さっているので、こちらも第一と第二の極大の違いがリアルなのか確かめるべく、また狙ってみよう。

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新天体 in Ari & M61

しばらくサボっていた新天体情報ですが、自分で観測できる環境があるので再びメモとして残すことに。今回はおひつじ座と M61 の新天体。

発見者は北海道の Ueda さん。明るさは11等台。すでに meineko さんによって確認観測されていて、存在は確実のようです。銀緯なども考慮すると矮新星かなぁと思いますが、とりあえず分光観測が待たれます (しかし、全国的にしばらくお天気が悪そうですね… )。以下、広めの位置確認チャートと高度変化。

j0309_inAri_2014_chart

j0309_inAri_2014_alti

さて、もう一つはおとめ座の M61 に現れた超新星候補。こちらは板垣さんによる発見 (発見時の画像はこちら)。明るさは13等台。明るいので頑張ればウチの 13cm でも写るだろうか。meinekoさんの確認観測の画像はこちら。しかし観測しやすくなる時間は 29 時 (朝5時) 過ぎくらい。このとき地平からの高度は約20度。次の日 (当日) が休みとかでないと厳しいですねぇw え、早起きしたらエエやん?(ry
以下、高度変化のグラフだけペタリ:

psn_inM61_2014_alti

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